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122話 可愛らしいと思ってます

last update publish date: 2026-10-21 14:31:59

 ※

「あ、あの」

 緊張して声が掠れてしまう。そんな声でも気付いてくれたようで、振り向いて私に優しく微笑んでくれた。たったそれだけで、心臓がドクドク煩くてかなわない。

 声をかけたものの、何を喋って良いか分からず、彼の前で私は彫刻のように動けなかった。

(ど、どうしましょう……)

 お姉様がわざわざ彼をこの場所に留めてくれたのに。

『私とサラの区別がついたようよ。彼は、貴女を助けた日のことをちゃんと覚えているようね』

 と小声で耳元に囁いて教えてくれた。それを聞いて、二年前の事を覚えてくれているんだと思って飛び上がる程嬉しかったけど、本人を前にすると声を発せない。

 こんな自分が情けないと思って、スカートを握り締めた。

「レディ、お怪我は大丈夫でしたか?」

 スカートを握り締めたまま顔を上げると、彼は緊張した心が解れるような優しい笑みを浮かべていた。

「あ、あれから医者にちゃんと見せ
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     ※「あ、あの」 緊張して声が掠れてしまう。そんな声でも気付いてくれたようで、振り向いて私に優しく微笑んでくれた。たったそれだけで、心臓がドクドク煩くてかなわない。 声をかけたものの、何を喋って良いか分からず、彼の前で私は彫刻のように動けなかった。(ど、どうしましょう……) お姉様がわざわざ彼をこの場所に留めてくれたのに。『私とサラの区別がついたようよ。彼は、貴女を助けた日のことをちゃんと覚えているようね』 と小声で耳元に囁いて教えてくれた。それを聞いて、二年前の事を覚えてくれているんだと思って飛び上がる程嬉しかったけど、本人を前にすると声を発せない。 こんな自分が情けないと思って、スカートを握り締めた。「レディ、お怪我は大丈夫でしたか?」 スカートを握り締めたまま顔を上げると、彼は緊張した心が解れるような優しい笑みを浮かべていた。「あ、あれから医者にちゃんと見せたんです。そうしたら骨は折れていなかったけど、熱をもっていて」「強く掴まれたからでしょうね」 まるで、自分のように痛そうに表情を歪めた彼を見てドキッとした。微笑んだ表情以外でもときめいてしまうなんて、私どうかしているわ……。「は、はい。捻挫を起こしてしまっていて、でも安静にしていたらすぐに治りました」「良かった。レディのことをずっと心配していたんです」 と安堵する彼の、なんと朗らかなことか──……。「あれから、占いにはいかれたんですか?」「えっ? 占いですか? 結局は行きませんでした」「怖い思いをされましたからね」 私は曖昧に笑って頷いた。 魔女の恋占いへ行かなかった理由は、あの時恋を知ったから。 その恋の行く末を占いに行かなかった理由は、初恋が実るか訊くのが怖かったから、だ。(初恋は実らない、っていうジンクスがあるから……)「どうされました?」

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